2020.04.15

Afterコロナ時代の店舗サービス業の経営変革について考える②

前回に引き続き、元組織コンサルタントの視点から、Withコロナ、Afterコロナ時代の店舗サービス業の経営変革について発信していきたいと思います。

 

前回は、新型コロナウイルスとの長期戦を見据え、ゼロリセットで経営の構造改革を実施すべきであるというお話をさせていただきました。
今回はより具体的に、戦略的ダウンサイジングと新しい付加価値の提供が必要になるという点についてです。
まず、前提を整理すると以下の様になります。

 

Beforeコロナ:量的拡大を追求していた時代
すべての企業が店舗数の拡大によって「事業拡大」を目指していた時代
経営指標は売上(量的な拡大)

 

After コロナ:質的拡大を追求する時代
マクロ的な人口減少、新型コロナウイルスによるオフィスに通勤する人の相対的な減少に合わせた「適切な店舗数」に縮減、新しい付加価値を提供し「適切な利益」を追求する時代
経営指標は営業利益(質的な拡大)

 

 

〈具体的な施策について〉
適切な店舗数と適切な運営体制の構築
〜経営の質を高める戦略的ダウンサイジング〜

 

 日本はそもそも、人口が減少していく構造的な問題を抱えています。しかもその人口は年々、高齢化していきます。今後は、Withコロナの働き方である「在宅勤務」や「リモート勤務」が当たり前になり、会社に出勤する人が減少すると考えられます。前回の繰り返しになりますが、働く人々の減少規模が大きいエリアでは店舗数を減少させ、顧客数に見合った店舗数に再編することも必要になると思います。また、これまでの「店舗拡大」戦略に合った組織体制をゼロリセットして「事業再生」という視点で組織の戦略的ダウンサイジングを行う必要があります。

 

 まず、ダブついている役職や組織を統合し、中央集権で組織を動かせる体制を取ることです。危機対応として迅速に意思決定し、行動を起こすには、組織の中央集権化とフラット化は不可欠な施策になります。例えば、SV(スーパーバイザー)は本当に必要なのか? 店長は本当に必要なのか? という問いを立ててみることです。「なぜ必要なのか?」という目的や明確な役割が定められなければ、一旦、削減を検討してみることです。そこまでしなくても、人数を縮小し、間接部門の費用を削減することは可能です。(=間接部門の人件費削減=営業利益の創出)。事業再生的視点とは、これくらい抜本的に問いを立て、業務を見直すことなのです。

 

 次に、業務をITで代替することができないかを思考してみることです。例えば、店舗のカメラ画像を防犯だけではなく、店舗マネジメントに活用できないものでしょうか? レジのPOSデータとスタッフのシフトデータを分析し、最適な人材配置を思考できないものか? また、単一店舗管理ではなく、複数店舗を管理し、全体最適な視点でマネジメントができるようにITを活用するなど、これまで取り組んでこなかった「データ」を活用した店舗運営の効率化(ムダ・ムラの撲滅による利益創出)はできないかと考えてみる必要があります。このような店舗マネジメントのIT化は、SVや店長がやるべき仕事を大きく変化させるはずです。ITを使った臨店業務の効率化、1店舗1店長制度から複数店舗1店長制への移行などが考えられます。また、スタッフも1店舗だけではなく複数店舗や複数ブランドで勤務できるようにスキルを高めることで、店舗を運営する人数を縮小(省人化)し、活躍する人材に対する待遇を向上させることも可能です。それによりスタッフのエンゲージメントを高め、定着率を向上させることができます。辞めるスタッフが少なくなることで、新規採用コスト、新人スタッフのトレーニングコストを大きく削減することが可能です。

 

 このように中長期を見据えて、経営を「筋肉質化」しつつ、運営を効率化させ、利益を高める経営にシフトすることができれば、Afterコロナ時代に繁栄を享受できるはずです。これまでの延長線(量的拡大)に、その繁栄はありません。抜本的に業務を変えて、組織を変えて生き残ることが必要です。その鍵はやはりITの活用です。それ以外の選択肢は無いと、私は思います。