Knowledge Report #03
Knowledge Report は、お客様やパートナー様の声をご紹介するコーナーです。
今回は歴史ある百貨店業界を中心とした、小売業の枠を超えたマルチリテイラーとしての成長・発展を志す J.フロント リテイリング グループ様。革新的な会社の成長には人財力の育成が重要だと考え、新入社員の基盤となる「スタンス」を形成する研修を実施しています。2018年よりナレッジ・マーチャントワークス株式会社(以下KMW)と共に新入社員研修を運営してきましたが、2020年は完全オンライン版として研修をリバイス。コロナ禍で入社した新入社員の心情変化やオンライン化ならではの苦労も含めて、お話を伺いしました。
Project Overview

提供領域 新入社員研修(「エントリースクール」と称して、オンラインにて実施)
対象 グループ内事業会社の2020年度入社の新入社員 74名
内容 「自己理解」「仕事の基準」「意志意欲」をテーマとした4日間のプログラム。
講義やグループワークを通じて、社会人としての心構えや仕事への向き合い方を理解し、J.フロント リテイリング(以下JFR)グループの社員としての「スタンス」を習得してもらう。
成長人財の基盤をつくる「スタンス」研修
染谷
まずは御社の人財育成について、お話いただけますでしょうか。
三浦
百貨店業界がバブル以降の30年間ずっと右肩下がりだった中で、当社は、早くから新しい形を作っていこうと舵を切った会社であるという自負は持っています。しかし、新型コロナウイルスは想定外のスピードで様々な影響を及ぼしており、業界の縮小や今後も続くコロナ禍の状況を考えたとき、既存のやり方に追従していくだけでは立ち行かないことを改めて実感しています。だからこそ、現状に甘んじず、変化を貪欲に求めてチャレンジしていける人財の育成が、グループ全体で必要だと考えています。
染谷
JFRグループの競争力をつくり出してきたのは、20年前の人事制度改革にあると思っています。それ以来、人財育成に対してさまざまな取り組みをされてきました。その中でも、新入社員に向けた「エントリースクール」にはどういった思いが込められていますか?
三浦
2019年より「職務主義」から「人財力主義」という当社独自の基軸へと転換しました。これは人にフォーカスを当てて、会社も、人事の考え方も、制度から全てを変えていくという大改革です。その「人財力」の根底となるのが、仕事にどう向き合うかという「スタンス」。そこってなかなか変わりづらいんです。一方で、入社した時から「人財力」や「スタンス」が決まっているのではなく、自分次第で変化させていくこともできる。そこを、社会人の最初のタイミングで伝えていきたいという思いがあり、KMWさんとともに、JFR流の新入社員研修を考えていきました。
染谷
初めてご相談いただいたのが2017年でした。当時は、JFRさん傘下の百貨店「大丸」の300年史を読ませていただき、変わらない理念や行動指針や新たなビジョンのお話を聞かせていただき、JFR流の「スタンス」とは何か、何時間も議論させていただきました。
三浦
背景を十分理解していただいた上で考えていただけるのは、とても安心感がありました。やはり1年目で「仕事への向き合い方」をしっかりと身に付けていれば、その後の成長スピードは格段に上がります。スキルや知識だけではダメで、その土台をしっかり固めることを一番のテーマにしようということで、今の「エントリースクール」の形ができました。

コロナ禍のあらゆる「変化」への対応
染谷
今年度の「エントリースクール」開催に向けて、懸念点となったのはどんなところでしたか?
三浦
2020年の社内研修は、すべてオンライン研修へシフトしたのですが、なかでも「エントリースクール」は一番の人数規模となる74名、しかも複数回に分けての開催というところが、一番の懸念でした。
渡辺
これまでは、新入社員を研修会場に集めて、リアルの臨場感の中で実施していました。そこでは同期同士で課題に向き合い、解決策を見つけていくことで得られる「腹落ち感」があり、様々な考えに触れて、刺激を受けて、仲間との絆を深める絶好の機会にもなっていたのです。正直、オンライン研修で、そうした機会や集中力が欠如するのでは? という懸念があって、オンラインでもリアルに近い泥臭さと熱量をこれまでと変わらずに伝えていきたいという要望をナレッジ・マーチャントワークスさんにお願いしました。
染谷
そうした要望を受けて、オンラインだからこそ有効な仕組み、コロナ禍だからこそ伝えられるメッセージを込めて再編集しました。ただ、例年1泊2日で行うプログラムをオンラインに詰め込むには、参加者の集中力が持たない。そのため、全4日間に分けてプログラムを行いたいとこちらからもお願いしました。
三浦
小売りの世界では繁忙期である秋冬に、4日間も研修に費やすことの理解を得るには、想像以上の時間がかかりました。さらなる問題は、オフィスに集まって働く組織ではないので、1人一台のパソコンを用意することでした。振り返れば、多くのグループ関係部署の協力があってこそ実現できたので、JFRグループにとっても新たな挑戦でした。

不安や葛藤の中で、参加者が「変化」する瞬間
染谷
今回は「自己理解」「仕事の基準を知る」「意思意欲」という3つのコンテンツを組みましたが、印象的だったことはありましたか?
三浦
最初の「自己理解」では、同期同士で今思っていることを話してもらいました。彼らは入社式の後、すぐに自宅待機になりましたから、素直な不安や葛藤が現れていて、「自分たちは運が悪い」という受け止め方をする参加者もいました。そこを「“君たちの世代は駄目だった”なのか“ここを乗り越えてきたやつらは強い”と言われるかは、君たちの判断行動の結果でしか現れてこない未来だ」というメッセージを言っていただけたことで、顔つきが変わったのは印象的でした。
渡辺
私は「仕事で基準を知る」で行ったシミュレーションワークですね。2回に分けて、顧客のビジネス課題を解決するというお題にチームで取り組むというもの。最初は「言われたからやる」というやらされ感で積極性もなく答えがまとまらなかったり、悩んで答えをまとめても認められないというマイナスのイメージで1回目のシミュレーションワークが終りました。
染谷
意図的に2回にプログラムを分けたのですが、1回目終了後のアンケートでは「何のためにやっているかわからない」といった辛辣な声もありました。
渡辺
そこで「2回目は、こう心理変化を与えていこう」「より仕事の基準に重きを置いて語っていこう」と参加者の表情を見ながら柔軟にプログラムをブラッシュアップしていただきました。すると、2回目には、前のめりで情報を取りに行こうという積極性や、間違ってもいいから考えを出していこうといった前向きな「スタンス」へと変わり、やらされ感からお客様に向き合う顔つきへの変化が印象的でした。
三浦
またプログラムの中で、ベンチャーを立ち上げた経営者の話を聞くことができたのも、すごく刺激になったようです。社会人になって、日々の仕事で視野が狭くなっている時に、実際のビジネスの苦労やそれを乗り越えた話を語っていただき、非常に刺さったという参加者が多かったです。
染谷
やはりそこでも終始一貫して「自身の判断行動で未来は変えられる」ということを伝えていきました。
三浦
参加者は、自分たちではどうにもできない現状を不安に思っていたので、「自身で未来は変えられる」という事実に感銘を受けていました。そして最終的に、JFRグループの社員としての「スタンス」を整え、マインドセットさせるという本来の目標は達成できたと感じています。

これからも進化し続ける「エントリースクール」
染谷
最後は私も、参加者の若いエネルギーを感じることができて、嬉しかったです。新入社員の時のエネルギーって、やっぱり特別なんです。そこをお客様や会社の方に向けることができれば、すごい価値になる。今回は特に、エネルギーの矛先をどこに向けてあげるかを、とことん大事にしてきました。さて、今後の「エントリースクール」は、どのように進化させていこうと考えていますか?
渡辺
正直参加者からは、リアルな場で同期と集まりたかったという意見がやはり多く、そこは今後の状況を見ながらのハイブリッド形式ができたらと思っています。一方、グループ各社の人事担当からは「オンラインでもできるね」と評判は上々でした。まず、研修会場へ行くという移動負担がゼロになること。そして4チームに分かれてのグループワークも、LIVE配信機能を使って、4画面で同時に見れるようにしていただき、聞きたいルームを聞くことができました。また、共同作業ツールを活用して、資料作成の進捗をリアルタイムで見える化していただきました。そこで、個々人のキャラクターや考え方を見ることができるなど、オンラインの効果を実感できました。
三浦
やはりKMWさんの研修は、パッケージ化された研修ではなく、当社の理念やビジョン、戦略や課題を汲み取った上で、非常に熱量の高いメッセージを伝えていただける。また、単なるオンライン化ではなく、デジタルとコンテンツの融合で、その効果を最大化していただきました。だからこそ、当社グループでも肝となる次世代リーダー研修やこの新入社員研修を一緒に取り組んでいける信頼感があります。これからも「エントリースクール」のハードルは上がりますが、一緒につくりあげていただければと思っています。